形態病理学・形態病理解析学画像

形態病理学・形態病理解析学

形態病理学・形態病理解析学

教員

教員指名:金城 貴夫
教員指名:金城 貴夫

教育

  • 当分野は癌の分子生物学と沖縄県の腫瘍性疾患について開講している。基本的に学生が毎回のテーマについてレポートし、教員と受講生でディスカッションする。
博士前期課程 形態病理学特論、形態病理学特別演習、特別研究
博士後期課程 形態病態解析学特論

研究

当分野では沖縄県の腫瘍性疾患とウイルスとの関連について研究しています。沖縄県は亜熱帯に属する島嶼県であるため疾患にも本土とは異なる特徴があります。この特徴を明らかにし腫瘍発生のメカニズムを解明する事で、沖縄県民の健康増進に寄与したいと考え、日夜研究に励んでいます。研究成果は査読制度のある国際学術雑誌に報告しています。

基礎研究

形態病理学分野では主に沖縄県の腫瘍性疾患とウイルスとの関連について研究しています。

①沖縄県の肺癌とHPV (human papillomavirus)の関連:沖縄県では過去30年の間に肺癌の組織像が次第に変化しています。以前は扁平上皮癌が最もよく見られる組織型でしたが現在は腺癌の頻度が最多となりました。肺の扁平上皮癌の減少と並行して肺癌組織から検出されるHPVも減少しています。肺癌の組織像とHPV感染の関連性やHPVによる扁平上皮への分化誘導を研究しそのメカニズムを明らかにしています。

②沖縄県の口腔癌とHPVとEBV (Epstein-Barr virus)二重感染の関連:沖縄県の口腔癌の症例からは高頻度にHPVやEBVが検出され、これらウイルスの二重感染が口腔癌発生の原因となりうると考えられました。そこでこの仮説を検証する為にHPVとEBVの遺伝子を正常細胞に発現させたところ、癌化する事を証明し、そのメカニズムを解明しました。異なる種類のウイルスの遺伝子が協調して癌化を誘導する事を初めて明らかにしました。

③沖縄県のカポジ肉腫の臨床像とKSHV (Kaposi sarcoma associated herpesvirus)のK1遺伝子との関連:カポジ肉腫はKSHVにより発生します。カポジ肉腫は臨床像の異なる4つのタイプが知られていますが、沖縄県ではAIDS関連カポジ肉腫よりも古典型カポジ肉腫が多く発生しています。古典型カポジ肉腫はAIDS関連型とは臨床像が異なり、病変は皮膚に限局し自然に消退する事もあります。古典型とAIDS関連型から検出されたKSHVのK1遺伝子は塩基配列に違いがあり、臨床像の違いに関連していると考えられます。この2つのK1遺伝子の腫瘍形成能の違いについて検討を行っています。

④HTLV-I (human T-cell leukemia virus type I)のTax遺伝子の腫瘍形成能と細胞の分化度との関連:沖縄県に多い成人T細胞白血病はHTLV-Iの感染により発生します。HTLV-IのTax遺伝子が発癌に関与すると考えられていますが詳細なメカニズムは分かっていません。成熟(分化)した細胞にTaxを発現させると癌化せずに細胞老化が誘導される事を見出しており、Taxによる癌化は未熟な(未分化な)細胞で誘導されると考えられます。ES細胞や各種の幹細胞を用いてTaxの腫瘍形成能を解析しています。

臨床研究

臨床研究では原則的に琉球大学病院で検査や手術の目的で採取された試料を利用させて頂きます。これらの資料は診断・治療後の残余検体ですので患者さんの診療には影響しません。臨床研究で用いられる試料は全て匿名化された上で取り扱われ、個人情報は厳重に管理され保護されます。もしこれらのことについてお尋ねされたい場合や研究への参加を拒否されたい場合には当分野までご連絡下さい。

①「Mieap不活性化が胃癌の生物学的特性へ及ぼす影響について」
平成27年6月2日 倫理審査承認 第792号
研究の概要・研究の目的・対象・方法などはこちらから御確認いただけます。

②「沖縄県の軟骨肉腫におけるIDH変異とHIFシグナルとの関連について」
平成27年7月17日 倫理審査承認 第823号
研究の概要・研究の目的・対象・方法などはこちらから御確認いただけます。

③「沖縄県の子宮頸部病変におけるHPV感染について」
平成27年8月13日 倫理審査承認 第832号
研究の概要・研究の目的・対象・方法などはこちらから御確認いただけます。

④「沖縄県の口腔癌・咽頭癌におけるHPV感染、ポリADPリボース活性と予後との関連について」
平成27年9月2日 倫理審査承認 第841号
研究の概要・研究の目的・対象・方法などはこちらから御確認いただけます。

⑤「沖縄県のヒト血管腫瘍の分子病理学的研究」
平成27年9月8日 倫理審査承認 第843号
研究の概要・研究の目的・対象・方法などはこちらから御確認いただけます。

⑥「閉経期女性における子宮頸部細胞の成熟度とその要因に関するケースコントロール研究」
平成29年4月13日 倫理審査承認 第1085号
研究の概要・研究の目的・対象・方法などはこちらから御確認いただけます。

⑦「乳癌のルミナルサブタイプと生物学的特性に関するケースコントロール研究」
令和2年2月7日 倫理審査承認 第1563号
研究の概要・研究の目的・対象・方法などはこちらから御確認いただけます。

Tamanaha-Nakasone A, Uehara K, Tanabe Y, Ishikawa H, Yamakawa N, Toyoda Z, Kurima K, Kina S, Tsuneki M, Okubo Y, Yamaguchi S, Utsumi D, Takahashi K, Arakawa H, Arasaki A, Kinjo T. (2019)
K1 gene transformation activities in AIDS-related and classic type Kaposi’s sarcoma: Correlation with clinical presentation.
Sci Rep. 9: 6416. https://doi.org/10.1038/s41598-019-42763-0.

Uehara K, Ikehara F, Shibuya R, Nakazato I, Oshiro M, Kiyuna M, Tanabe Y, Toyoda Z, Kurima K, Kina S, Hisaoka M, Kinjo T. (2018)
Molecular signature of tumors with monoallelic 13q14 deletion: a case series of spindle cell lipoma and genetically-related tumors demonstrating a link between FOXO1 status and p38 MAPK pathway.
Pathol Oncol Res. 24: 861-869. DOI: 10.1007/s12253-017-0303-6.

Uehara K, Iwashita H, Tanabe Y, Kurima K, Oshiro M, Kina S, Ota A, Iwashita A, Kinjo T. (2017)
Esophageal Xanthoma: Presence of M2 Macrophages Suggests Association with Late Inflammatory and Reparative Processes.
Open Med (Wars)12:335-339. DOI: 10.1515/med-2017-0048.

Uehara K, Ikehara F, Tanabe Y, Nakazato I, Oshiro M, Inamine M, Kinjo T. (2016)
CD10 expression in the neuroendocrine carcinoma component of endometrial mixed carcinoma: association with long survival.
Diag Pathol 11: 16. doi:10.1186/s 13000-016-0468-4

Arakaki K, Chinen K, Kamiya K, Tanabe Y, Tawata N, Ikehara F, Uehara K, Shimabukuro H, Kinjo T. (2014)
Evidence for an association between increased oxidative stress and derangement of FOXO1 signaling in tumorigenesis of a cellular angiofibroma with monoallelic 13q14: a case report. Int J Clin Exp Pathol 7: 8972-8979.

Shimabuku T, Tamanaha A, Kitamura B, Tanabe Y, Tawata N, Ikehara F, Arakaki K,
Kinjo T. (2014)
Dual expression of Epstein-Barr virus, latent membrane protein-1 and human papillomavirus-16 E6 transform primary mouse embryonic fibroblasts through NF-kB signaling.
Int J Clin Exp Pathol. 7: 1920-1934.

主な修士・博士学位論文テーマ

修士論文
  • HPVとEBV二重感染モデルによる形質転換能の検討
  • AIDS関連型と沖縄の古典型カポジ肉腫におけるK1遺伝子機能の比較
  • HTLV-IのTax遺伝子による形質転換能の検討
  • マウス未分化細胞を用いたHTLV-I Tax遺伝子のアポトーシス回避に関する研究
  • low-risk HPV E6/E7とEBV LMP-1の二重発現モデルを用いた形質転換能の評価
博士論文

メッセージ

研究を志す学生は勿論大歓迎致します。また大学院進学を悩んでいる学生は是非相談に来てください。さらに日々の臨床を通じて解明したい医学上の疑問がある医療従事者の方も歓迎致します。