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病原体検査学研究室

病原体検査学研究室

病原体検査学分野とは

例えば、日本において65歳以上の高齢者における死亡要因の4位以上に挙げられる「肺炎」は、人体に感染したある種の病源体が起こした振る舞いに人体が反応した結果として起こると考えられています。これら感染症の治療には薬剤が用いられてきましたが、近年では、薬剤の効かない薬剤耐性の病源体が出現し感染症の治療を難しくさせています。また、公共交通の発達によって諸外国から様々な病源体や感染症が日本に持ち込まれるなど病源体や感染症を取り巻く状況は複雑になってきています。このような背景から、病源体検査学分野では単に患者検体を用いて得られた病源体を用いた研究調査を行うだけでなく、国内外で得られた健康な人や環境などに由来する病原微生物にも注目しており、これらの病原微生物がどのような性質を示しているか(どのような病原因子を持っているか、どのような薬剤が効果を示すかなど)について詳細に調査研究しています。

教員

教員指名:平井 到
教員指名:平井 到
教員指名:宮城 和文

教育

1年次の「微生物学」では、看護学コース、検査技術学コース両方の学生を対象として、感染症を起こす微生物の特徴のみについて学習するのではなく、人体の構造、免疫系の働きなども含めてどのように病原体が人体に感染し、病態が形成されるのかについての概略を学習し、感染症に対する考え方を養います。2年次以降の「医動物学」、「医動物学実習」、「臨床微生物学」では講義、実習によって、寄生虫や医療関連機関で分離される病原体、主に病原細菌についてその性質を学び、どのように検査するのか、どのようにその性質を明らかにするのかについて学習します。また、医療従事者は一般に研究の機会は少なく、研究的な視野を持つことは非常に貴重であるといえます。ですから、3、4年次に行われる「卒業研究」では実際に研究室において、各種病原微生物を用いた実験を行い、研究の実際に触れる機会を得ます。

1年次 微生物学
2年次 医動物学、医動物学実習
3年次 臨床微生物学、卒業研究Ⅰ、卒業研究II
4年次 卒業研III

研究

病原体検査学分野では、沖縄県内外の医療機関、健康な人、食品、家畜、環境などから分離された細菌を材料として、どのような細菌種が分布しているか、分布している細菌がどのような性質を示すかについて、遺伝子検査や遺伝子組み換えなど分子生物学の技術を使って解析しています。また、実際起きている細菌感染や伝播の仕組みを明らかにするために、大腸菌を使ったモデル実験系を使った実証実験を行っています。

1. Yamaguchi T, Kawahara R, Hamamoto K, Hirai I, Khong DT, Nguyen TN, Tran HT, Motooka D, Nakamura S, Yamamoto Y: High Prevalence of Colistin-Resistant Escherichia coli with Chromosomally Carried mcr-1 in Healthy Residents in Vietnam. mSphere. 2020, 5(2). pii: e00117-20. doi: 10.1128/mSphere.00117-20.

2. Hamamoto K, Tokunaga T, Yagi N, Hirai I: Characterization of blaCTX-M-14 Transposition From Plasmid to Chromosome in Escherichia coli Experimental Strain. Int J Med Microbiol. 2020, 310(2):151395. doi: 10.1016/j.ijmm.2020.151395.

3. Miyagi K, Hirai I: A survey of extended-spectrum β-lactamase-producing Enterobacteriaceae in environmental water in Okinawa Prefecture of Japan and relationship with indicator organisms. Environ Sci Pollut Res. 2019, 26(8):7697-7710. doi: 10.1007/s11356-019-04189-z.

4. Yamamoto Y, Kawahara R, Fujiya Y, Sasaki T, Hirai I, Khong DT, Nguyen TN, Nguyen BX: Wide dissemination of colistin-resistant Escherichia coli with the mobile resistance gene mcr in healthy residents in Vietnam. J Antimicrob Chemother. 2019, 74(2):523-524. doi: 10.1093/jac/dky435.

5. Higa S, Sarassari R, Hamamoto K, Yakabi Y, Higa K, Koja Y, Hirai I: Characterization of CTX-M type ESBL-producing Enterobacteriaceae isolated from asymptomatic healthy individuals who live in a community of the Okinawa prefecture, Japan. J Infect Chemother. 2018, 25(4):314-317. doi: 10.1016/j.jiac.2018.09.005.

6. Miyagi K, Sano K, Hirai I. Sanitary evaluation of domestic water supply facilities with storage tanks and detection of Aeromonas, enteric and related bacteria in domestic water facilities in Okinawa Prefecture of Japan. Water Res. 119: 171-177, 2017. doi: 10.1016/j.watres.2017.04.002.

7. Hamamoto K, Ueda S, Toyosato T, Yamamoto Y, Hirai I: High prevalence of chromosomal blaCTX-M-14 in Escherichia coli isolates possessing blaCTX-M-14. Antimicrob Agents Chemother. 2016, 60(4):2582-2584.

8. Bui TM, Hirai I, Ueda S, Bui TK, Hamamoto K, Toyosato T, Le DT, Yamamoto Y: Characterization of Escherichia coli producing CTX-M-type extended-spectrum β-lactamase carriage in healthy Vietnamese individuals. Antimicrob Agents Chemother. 2015, 59(10), 6611-6614.

9. Hamamoto K, Ueda S, Yamamoto Y, Hirai I: Evaluation of three-marker GIG-EM phylogenetic typing of Escherichia coli isolates of various genetic backgrounds. J Clin Microbiol. 2015, 53(6):1848-1853.

10. Ueda S, Bui TK, Bui TM, Hirai I, Le DT, Yamamoto Y: Limited transmission of blaCTX-M-9-type positive Escherichia coli between humans and poultry in Vietnam. Antimicrob Agents Chemother. 2015, 59(6):3574-3577.

社会貢献活動

教授:平井 到
  • 各種英文国際学術雑誌査読
助教:宮城 和文
  • 各種英文国際学術雑誌査読
  • 沖縄県臨床検査技師会理事
  • 琉球大学医学部保健学科同窓会副会長

主な卒研テーマ

  • 東南アジアおよび日本における薬剤耐性菌の性情に関する研究
  • 薬剤耐性機構の分子メカニズムに関する研究
  • 沖縄県内の環境菌における薬剤耐性の状況と環境菌が保持する病原因子に関する研究