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新着情報:お知らせ

琉球大学病院看護部との共同研究活動成果報告

2021年12月20日(月)

琉球大学医学部保健学科と琉球大学病院看護部との臨床看護研究に関するユニフケーションが2014年から開始されました。臨床の看護実践のなかから発芽してきた研究に保健学科教員が加わり、研究マインドのスキルアップとエビデンスのある実践と専門職としての自立を促す目的の活動です。

今回、日本糖尿病療養指導士(CDEJ)の資格を有する呉屋看護師を含む第二内科病棟看護師と保健学研究科国際地域保健学具志堅助教が行った共同研究成果を報告します。研究テーマは「ペン型インスリン注入器を介した血液曝露リスクに関する臨床看護師の認識」です。 本研究は2020年7月~9月に琉大病院全看護師へのWebアンケート調査で得られた330名の分析結果です。ペン型インスリン誤注射の曝露認識は「薬液曝露のみ49.7%(CI44.2-55.2%)」でした。糖尿病患者が入院した際には、看護師がインスリン注射を代行します。ペン型注入器は使用時に薬液内への血液逆流リスクがあり、他者へ打ち間違えた際には、たとえ未使用の針であっても「血液交差事故」としての対処が求められています。

今回の調査結果から、看護師の約半数が誤注射の際に血液曝露を考慮した対処をしない可能性が示されました。また、これまで新人看護師教育にてペン型注入器の血液逆流リスクの情報提供を行ってきましたが、不十分であることも分かりました。

本研究を行った看護師達はこれらの結果を踏まえて、院内感染対策室や医療安全対策室のスタッフとディスカッションを重ね、3部署連名での注意喚起ポスターの発信につなげることができました(下記図参照)。このポスターは電子カルテ内のマニュアルにも組みこまれています。看護部門の活動が院内全体の医療安全改善に貢献できたことは、本研究に取り組んできた看護スタッフにとっても大きな感動と励みになったようです。

今回の研究成果は日本糖尿病学会、日本糖尿病九州地方会、日本環境感染学会にて報告されました。現在は本課題に関する日米取り組みの文献比較を追加し、学術誌投稿を準備中です。糖尿病専門看護師、がん専門看護師そして感染専門看護師と看護職の専門領域は拡大充実してきています。その専門性を深め、本来の役割を発揮するには継続した研究活動は欠かせない課題です。これからも、保健学科と琉球大学病院看護部との臨床看護研究ユニフケーション活動を通して、互いの専門性を高めあうことができることを期待します。

文責―具志堅美智子―